やけ酒飲み

わたしは、二十になった頃から、やけ酒飲みだった。

拭き方

また靴下に穴が空いた。もう破れていない靴下がほとんどない。

だいたい履き始めて3カ月くらいでご臨終になる。いつもかかとのあたりに小さい穴ができて、それが数日で手の爪ほどの大きさになる。つま先の方は滅多に破れない。いつもかかとだ。

これ、普通なんですかね。

もしかしたら靴下は数週間で買い替える消耗品なのかもしれないし、一足数年は履けるものなのかもしれない。周りの人が一足の靴下をどの程度履き続けているのかなど、尋ねたことがない。自分がもし常識はずれだったらと思うと、なんだか恥ずかしくて尋ねづらいのである。

お食事中の方には大変申し訳ないのだが、話は「ケツの拭き方」に飛ぶ。

自分が当たり前だと思っているケツの拭き方も、実は特殊なのかもしれない。汚い話なので詳解はしないが、自分は前から後ろに拭くタイプである。逆に後ろから前に拭く人や、スライドではなくつまみ取るタイプの人、ケツをフリフリさせながら拭く人等もいるのかもしれない。

トイレという密室空間で行われる日常作業(う○このことです)は特殊な性癖でもない限り一人で行うものであり、親からのトイレットトレーニングを終え、一般のトイレで用を足すことになった時の記憶などほとんどの人は持っていない。したがって、そこでの一連の動作はほとんどの人が「我流」になっているはずである。

何が言いたいのかというと、この「我流」を「当たり前」と錯覚しているのってなんだか面白いなあと思うのである。

例えばの話だが、トイレに鍵がかかっておらず、誰もいないと思って入ったら父親が片足を上げながらケツを拭いていたとする。この父親は、うん十年間ケツを拭く時は片足を上げるのが当たり前だと思っていたのである。もちろんその後家族全員で父親を笑いの種にするのだが、しかしここで皆ふと思うのである。「じゃあ正しい拭き方ってなんなんだ」と。

これは短編小説が書けてしまいそうなほど、面白いネタだと思う。自分が当たり前だと思っている日常的な動作や習慣が、実は滑稽で特殊なものなのかもしれないのである。

靴下を3カ月で履き潰すということを恥ずかしながら公表したので、皆さんはどうなのか教えてほしい。本当はケツの拭き方も訊きたいのだが、これは法に触れる可能性があるのでやめておきます。

本当に訊けないような日常行為については、胸の奥にしまったまま墓場まで持って行こうと思う。